ガチアサリルール考察
スプラトゥーン2、以前のPVで告知のあったガチアサリルールが追加されました。
アメフト+玉入れのようなゲームで、個人的にはかなり”e-Sports感”を覚える良ルールです。
公式動画だと0:53〜1:14がガチアサリルールのプレイ動画です。
余談ですがこの曲「Iron MaidenのTrooperみたいなリフですね」と言った後輩がいたせいで、だんだんイントロがTrooperに聴こえてきました。
それはさて置き大雑把にルールを説明すると、以下のようになります。
『勝利条件』 「相手のゴールのバリアを破壊し、そこにアサリを多く投げ入れた方の勝ち」 『大まかなルール』 ・4vs4の対戦 ・チームメンバーはそれぞれ、ステージ上にランダム配置される"アサリ"を集めていく ・"アサリ"は10個集めると"ガチアサリ"に変化する ・"ガチアサリ"を相手のゴールに投げ込むと、バリアを破壊できる ・バリア(※)を破壊した相手ゴールに、味方がアサリやガチアサリを投げ入れて得点を上げていく ※バリアは時間で回復し、一定時間が経過すると元に戻る / 相手バリアが破れている間は、味方バリアは破れない(つまり攻防がターン制になりやすい) その他ルールについてはこちら https://www.nintendo.co.jp/switch/aab6a/battle/index.html
得点権(ガチアサリ)を持っているプレイヤーは相手から妨害されやすくなるので、そのプレイヤーを守ってどうゴールまで駆け上がるか、はたまた攻防をすり抜けて相手ゴール近くでアサリを10個集めるのか、多様なプレイングが想像できる非常に良いルールだと思っています。
ですが、このルール実装後、Twitterなどで「面白いけど野良だと勝てない」「味方が弱い」という意見を頻繁に聞くようになりました。味方ディスは褒められたものではないですが、確かに味方依存度の高いルールですから、そう思うのも無理はありません。
この点について、少し自分の考えを整理してみました。
従来のスプラトゥーンには明確なTroll Playが存在しない
突然ですが、『Troll Play』という言葉をご存知でしょうか。
FPSやRTSに慣れ親しんだ方なら耳にしたことがあると思いますが、これは広義では「意図的にゲームを妨害する行為」、もう少し具体的に言うと「味方の邪魔をしたり敵に協力して、故意にチームを敗北に導くプレイング」のことを指します。
Troll=北欧の国、特にノルウェーの伝承に登場する妖精の一種(wikipediaより)
さて、スプラトゥーンには「地面を塗る」という要素があり、自分チームの色で塗られた床は潜伏(=隠れて敵を待ち受けること)と高速移動が可能になります。
華形はやはりキルを取る武器かも知れませんが、良く塗れる武器というのも実戦では役に立ちます。足元が塗られているだけで有利に立ち回れることを考えると、仮に『1人で敵陣に突っ込んでデスを重ねていくシューター』『最後まで0キルのチャージャー』などが味方にいたとしても、彼ら自身が移動する際の足元塗りだけでも多少なりプラスに働く要素があります(もっと頑張れ〜!と思う時は多々ありますが)。
これがスプラトゥーンのすごく上手なところで、ゲームを始めたばかりの初心者も「地面を塗る」「余裕があれば、ボムを敵陣に放っておく」だけでもかなり役に立てるという事になります。
そもそも初心者が最初にプレイするナワバリバトルは、相手チームと地面の塗った範囲を競い合うというもの。ガチマッチ参加権を得るランク10到達までには一端に塗れるようにはなっているというのも、うまい調整です。
加えて、スプラトゥーンでは味方を撃ったりアイテムを横取りしたりという要素が全くありません。
つまり、居るだけで、塗って移動するだけでもチームにはプラスになるという観点から見ると、”明確なTroll Play”は存在しないという見方になります。
※補足ですが、ガチホコにおいては自陣で待機→時間での死亡による完全なTroll Playが存在します。ただ、これは「努力の末の戦犯」ではなく「あからさまなTroll Play」と瞬時に判断が可能です。エリア・ヤグラはコントローラー放置などの論外を除き「どこかに居てくれるだけで助かる」ルールなので、ここでは特に触れていません。
ガチアサリは”妨害”と”ミスによる戦犯”の境界が曖昧
ここでガチアサリのルールを振り返ってみましょう。ステージ上のアサリを集めて、ガチアサリを作ってゴールに投げ込む、というルールでした。
足元を塗ってくれるだけでも最高、ガチヤグラなら乗っていてくれるだけでも最高and最高なのですが、ガチアサリについては明確に妨害行為を働こうと思えば働けてしまいます。
決定的なのは「防衛時にゲットできるガチアサリ」。
自陣ゴールを割られてから一定時間経つと、反撃のためのガチアサリが一つゴール下に落ちてきます。これを持って反撃に転じる訳ですが、簡単に言えばこれを奪って芋る(=同じ位置に居続ける)だけで
「お前、一体なにを!?早く前線に、お前、敵が3枚落ちてる今、お前!早く前線に…!」
となる訳です。
これはまだ良いですが、逆も然り、反撃ガチアサリを手に敵陣に単騎で突っ込んで、ややもすれば敵陣、いやステージ外に向かってパスをするという事も考えられます。味方からすると
「おま、お前、待て!突っ込むな!まだ敵が多い…なんで!?今!?」
となる訳ですね。
もちろん明確なTroll、つまりステージ外にガチアサリを投げ捨てるなどというプレイングをする人はほとんど居ないでしょうが、単騎特攻はひょっとして、意図的でないにせよやってしまっている方は多いのではないでしょうか。
焦らずともアサリの数は防衛側が上、落ち着いてラインを上げていきましょう、そんな中先行して重要なアイテムを手に敵陣へ突っ込み、結果やられてしまう。これは故意にアイテムを失うTroll Playなのか、はたまた「早く逆転したかった」という善意ゆえの戦犯行為か、どちらになるのでしょうか?
きっとほとんどの人は後者と分かりつつも、中には「俺の”邪魔“をするんじゃねえ!」と被害者ヅラをする人もいるかも知れません。こんなにも連携が必須なルールなのに、仲間割れをしてしまうと…一瞬で勝ちの目は消えるわけです。
協力プレイが必須なのに妨害も成立する不慣れな環境
古来より、スプラトゥーンのガチマッチは「1人で勝つゲーム」と言われてきました。
ヤグラに乗りながら敵を全員倒してしまえばいい、ガチホコショットで4枚抜けば良い、エリアを塗った後は前線で敵を倒し続ければ良い。理想論ですが、1人で大活躍をしてしまえば良いのです。
そんな中、攻守のはっきりしたルールであるガチアサリは味方依存度が高く、実際のスポーツさながら協力プレイが大前提となります。
特に、ペナルティ時のガチアサリの場合はガチアサリを投げ込むだけでは得点になりません。
自分がバリアを割ったあと、他の仲間に集めたアサリを投げ込んでもらう。これをするためには、野良であろうと最低でも2名の協力は必須です。
他ルールと同様に1人で大活躍をしようと思っても、自分が攻めている時、敵は連携して自分のゴールを狙っているかも知れません。敵にバリアを割られたら、もうそこで攻めのターンは終了です。
あれ?じゃあこれって、ひょっとして特攻した自分が”Troll”?
俺はただ、活躍しようと思っただけなのに…今、今俺は一体なにを?
アサリ…アサリはどこ?早くまた集めなきゃ……
ガチアサリの光と闇
そんなこんなで。
高い競技性ゆえに味方依存度が他ルールに比べて高く、またTrollなのか何なのか何とも言えぬ不安が身近に存在するというルール構成。目まぐるしい状況変化の中で味方のプレイングが最適だったかどうかの判断は出来ず、意図的な妨害と単純な失敗が表裏一体な設計においては負けた時の戦犯探しが盛んになるというのがここ最近プレイして感じたガチアサリの闇です。
ただ、この本格的なルールがスプラトゥーンの新たな扉を開いたのもまた事実。仲間とのボイスチャットがあるリーグマッチや、息を合わせる事に慣れた野良の仲間の戦いなどは、見ていてもやっていても楽しいものです。
より競技性の高まったスプラトゥーン2のガチアサリ。
公式大会などでハイレベルな試合が見られることを今から楽しみにしています。