ニーアオートマタにおける垂直型インタラクティブミュージックの一例

同作における垂直型インタラクティブミュージックについて

ニーアオートマタ、実は先月末にクリアしてました。面白かった!
細かい感想は大体全部ネタバレになってしまうので控えますが、メッセージ性の強いゲームだったなと思います。ポッドの強化を一切怠っていたので後半は大変でしたが、何とかEエンディングを迎えることが出来ました。

Twitterでも書きましたが、縦遷移のインタラクティブミュージックの好例があったので紹介します。

インタラクティブミュージックとは

このブログでは何度となく説明していますが、簡単に言えばユーザーの操作によって引き起こされる楽曲の変化という感じで良いと思います。
詳しくは以前の記事も参考にして下さい:

「ハノイの本」のサウンドデザイン概要ーーこのゲームの音作りで考えたこと
http://blog.nine-gates.com/51/
(2017/1/29追記)
『スプラトゥーン2』随所に光るインタラクティブミュージックについて動画で解説
http://blog.nine-gates.com/1640/

さて、ニーアオートマタでは非常に印象的な縦推移のインタラクティブミュージックがありました。Eエンドの一部なので軽いネタバレにはなりますが、特に物語の本質には触れない内容なので見ても大丈夫だと思います(多分)。

シューティングが始まる前にオンラインに接続されるかを聞かれ、『はい』を選択すると自機が死ぬたびに「辛いけど頑張れ」「俺も大変だった」「2Bや9Sだって頑張ってた」などと応援メッセージが世界中から届くという仕組み。ここまででもだいぶ胸熱な展開ですが、このシューティングの難易度が非常に高く、何度も何度も死ぬことになります。

その後、一定数死ぬと既にクリアしたプレイヤーが手助けをしてくれる様になります。
自機の周りにクリア済みプレイヤーが配置され、一気に攻略が容易に。そしてこの選択をしたタイミングで、ボーカルトラックの裏で合唱のようなコーラスのトラックが追加されます。

この一体感の演出はものすごく良かったです。
「仕組みの凄さよりも演出との絡み合いの方が遥かに大切」、と改めて認識しました。

オープニング部でも同様の仕組み

ちなみに同様の仕組みは実は冒頭部分でもありました。これはプレイ初日に撮った映像。

「敵対するロボットとの戦闘シーン」であれば、思わずMassive盛りのバキバキサウンドを作りたくなるものですが、妙に生々しいサウンドなのが印象的でした。実際、このロボットたちは…みたいなネタバレに繋げたくなる話題なので、その辺は是非プレイをしてみて下さい。

音楽演出、効果音の適切さなど、サウンドデザイナー諸兄は研究がてらに一度遊んでおいても良い作品かなと思います。ちなみに自分は遊園地の曲が好きです。

余談

実は2015年にベヨネッタ2の件でプラチナゲームズ様の記事を執筆した事がありました。
一時期は閲覧ランキング1位にいた記事でしたので、もしかするとご覧頂いた方もいるかも知れません。

その時の記事:
【CEDEC 2015】『ベヨネッタ2』におけるインタラクティブミュージック~プラチナゲームズ流のWwise活用法
https://www.gamebusiness.jp/article/2015/09/10/11397.html

末尾に「自動的に8bitアレンジを生成出来る(かも知れない)」トーンフィルターの話が出てくるのですが、ニーアオートマタのハッキングの8bit化演出、どうもこの自動生成な気がします。

後日SIG-Audio#14 GDC2017オーディオ報告会で再会を果たした木幡氏に話を振ってみたところ、「ふふふ…気付いちゃいました?」とのコメントを頂きましたので、詳細は分かりませんが恐らくそういう事なんじゃないかなと思います。

全体的な感想(軽微なネタバレを含みます)

このゲームは周回プレイが基本ですが、全く退屈しない作りだったのが好印象でした。

1周目と2週目は同じ時系列で、操作キャラクターの視点が違うという仕組み。2Bを操作する1週目では敵との戦闘は肉弾戦が中心で、ストーリーも謎を多く残したまま終わります。9Sを操作する2週目は戦闘時にハッキングなどの新要素が追加され、ゲームとして幅が広がると共に、要所要所に挿入される機械生命体側の回想シーンによってストーリーの謎が徐々に明らかになります。

それぞれの視点を終えたあとの3週目は、かなりのハイペースで伏線を回収して行きます(時系列的には、1,2週目の後になります)。なぜヨルハ部隊が作られたのか、ヨルハ部隊の定められた運命とは、それを知った彼らはどう行動するのか、などなど。ストーリーをこなすだけであればプレイ時間は30時間程度で済みますが、サブクエなどを全て回収するには+10時間以上は掛かると思います。

ちなみに、ニーアカフェにも行っちゃいました。

繰り返しにはなりますが、演出と上手く融合してこそのインタラクティブミュージックです。
更に細かく複雑な演出は同作にも見られますが、分かり易く感情にリンクするエンディング部を紹介させて頂きました。

最新のテクノロジーを追いかけるのも一興ですが、たまにはのんびりゲームを遊んで気付きを得るのも重要だなと思った次第です。次は大鷲のトリコかなー。

NieR:Automata | SQUARE ENIX http://www.jp.square-enix.com/nierautomata/