個人的SIG-AUDIO#8 速報まとめ


スクリーンショット 2014-07-19 13.41.36

現在IGDA日本SIG-Audio#8 「ゲームオーディオ業界エントリーセミナー」に参加しています。
http://kokucheese.com/event/index/184139/
あくまで個人的なメモ用途ですが、講演毎に順次更新していきますので参考にして頂けると幸いです。


明快!!ゲーム音楽クリエイターの道しるべ

稲毛 謙介氏
http://www.tempest-studio.jp/

1.ゲーム音楽の役割に付いて知る

■音楽は「貢献型音楽」「自立型音楽」に大別出来る

貢献:別の媒体に付随した音楽
ex)ゲーム音楽、BGM、撃判、TVCF etc…
自立:そのものが商品として成り立っている音楽
ex)ポピュラー、芸術音楽、ジャズ、民族音楽 etc…

ゲーム音楽は「貢献型音楽」に当てはまる
→音楽がなくても成り立つが、音楽が入る事によってゲームがより面白くなる
ゲーム音楽はゲームという上位コンテンツを引き立ててこそ存在意義が発揮される

■貢献型音楽の役割

ゲームや映画など、音楽を内包する上位コンテンツ
音楽なしだと寂しい→母体となる上位コンテンツを引き立てるのが役割

2.プロフェッショナルな技術力とは?

■技術力の公式
品質x早さx貢献度=技術力

品質:楽曲のアレンジ面、サウンド全体のクオリティ
早さ:制作スピード
貢献度:上位コンテンツを引き立てている度合い

これらが満遍なく高い事が重要
→それぞれ乗算で考えているので、ひとつでも欠けるとゼロになってしまう

貢献度と品質の違いは、料理屋さんの例えで分かり易くなります
品質:料理の出来
貢献度:頼んだ料理がきちんと出て来たか?ステーキを注文したのにチャーハンが出て来た時、そのチャーハンがいかに美味しかろうとリテイクになるよね、という話

・サウンドコンセプトに合致しているか?
・発注者が意図した通りの音楽になっているか?
→発注者は何らかのイメージを有しているが、自身では作れないためコンポーザーが代行する
・場面な常道を適切に表現できているか?
・グラフィックとの整合性はとれているか?

あらゆる発注に対応できるだけ、いろいろなジャンルの曲が書けると特ですね!

■インタラクティブミュージックについて
ゲームの場面場面に合わせて音楽が動的に変化して行く
「出来る限りゲームの場面をしっかり演出してあげるための仕組み」
3.プロに求められる具体的な技術水準

レベル0「未経験者」 音楽を作った事がない人
レベル1「初心者」 個人的に制作をしている人
レベル2「趣味レベル」 楽曲制作を無償でお願いされている人
レベル3「見習い」 楽曲制作で謝礼程度がもらえている
レベル4「アルバイト」 楽曲制作でバイトの時給以上(10時間で作った曲が1万円で売れたらOK)がもらえている
レベル5「新入社員」 10人中4〜5人のプロが商品価値を認めている
レベル6「三流」 10人中8〜9人のプロが商品価値を認めている
レベル7「二流」 10人中10人のプロが商品価値を認めている
レベル8「一流」 不特定多数のプロと顧客が楽曲を高く評価している
レベル9「超一流」 業界内にその名を知らぬものは居ない程の高い評価
レベル10「スター」 全国的にその名を知らぬものは居ない程の高い評価

「早さ」は18時間(3日)で1曲が基準/最低ライン
※2分尺のそこそこ大きな編成の楽曲を1日あたり6時間の作業で作ると仮定した場合
あくまで「OKが出るまで」なので、デモ制作のスピードではない / 18時間1曲は完パケまでの最低限のスピード感

「貢献度」は「1〜5回のトライで発注者の期待通りの楽曲が書ける」
貢献度を高めるためには「期待通り」から「期待を上回る」楽曲を求められる

4.まとめと質疑応答

・ゲーム音楽は貢献型音楽に分類され、母体となるゲームをどれだけ引き立てる事が出来るか?が大きな役割
・品質と早さと貢献度のバランスが重要!どれが欠けてもNG
質疑応答:プランナーからの発注で困ったこと→なにも指示がないのだけは困る…

 

 


 

効果音制作におけるアイデア 意外な所にヒントがある!?

スクリーンショット 2014-07-19 15.12.09

市村 嘉章 氏
http://hiroakiichimura.com/html/profile/profile

1.効果音制作の基本的な考え方
・演出や世界観のイメージに合う音を作るor収録する
・別の音を重ねたりエフェクト加工して調整
・足りないと思う部分を補う

上記3工程を経て「完成」
固定観念をなくし、自身のアイディア次第で自由に音をつけて行くのが音付けのコツ

音楽の歴史があるように効果音にも歴史がある
参考書籍:キムラ式音の作り方

マシンガン・ダムの決壊・ロケットの音の作り方の実演ーラヂオの時間より
※BGMが鳴っている時は効果音を抑えて、ダムの決壊など目立たせたい音は効果音を全面に出すようなバランスを心がけている
※アリモノを使わず、頭を使って効果音制作を行う(かっこいい…!)

本物の音が正解というわけではない→様々な道具を使い本物の音を生み出す

2.実写映画&ドラマ・アニメ・ゲームにおける音の付け方の違い

■実写映画
本線:役者の台詞や演技を撮影中に収録したもの
別線:環境音や足音等の足りない音を補う=フォーリースタジオやフィールドレコーディングで効果音を制作
※フォーリースタジオ:映像表現に加える「生音」を収録するスタジオのこと

■アニメ
台詞、BGM、音響効果を制作
本線と別選がない以外は実写映画やドラマと同じ
アニメには派手な演出や実在しないモノが多々あるので、音を想像しながら創って行く
効果音ーアトムの足下が聞こえる

音を「作る」「創る」とは?

様々な道具を使い「本物の音」を生み出す
→実在するロケットやマシンガンの音を、異なる物質を使って再現する
実在しない嘘の音を生み出し本物のように聞かせる
→アトムの足音のように、実際には存在しない音をそれらしく聞かせる
アナログとデジタルの考え方

■ゲーム
「プレイヤーの操作で時間軸が変わる」
何度も同じ音を聞いたり操作に対するリアクションが大事なのでインパクトのある音が好まれる傾向
決定音などゲームならではのシステム音が存在
同系統の音色で決定、キャンセルなどを作っていく

3.楽曲制作にも効果音が使える

効果音を楽曲中でインパクトをつける際に使用したり、
ループフレーズの一種として使用したり、
イントロ部分やサビ前の盛り上がりに向けさりげなく使用できる!
ex)Chance To Shine

楽曲と効果音のバランス、そしてアナログとデジタル(作る/創るの意)を使い分け
最も理想的と思うサウンドをデザインしていく

4.実演

「演技が大切!鳥の羽の音を録る時は鳥の気持ちになって!」

剣がかち合う音:キッチン用品をぶつける
ラケットを振る時の音:水切りのザルを振る
鳥がはばたく音:折り畳み傘を振る
子供のおもちゃ(?):ファンタジー世界の車
卵の殻:シャウエッセンのパリっ!という音

ギターでの実演:カモメの鳴き声 / バイクの走行音

ノイズについてはソフトウェアを用いて対処(RX3など)

 


 

音楽なんてこれっぽっちも作った事もない人の為のジングル制作講座

祖堅 正慶 氏
 http://blog.jp.square-enix.com/music/cm_blog/soken/

ゲームサウンドは楽曲ばかりが取りざたされるが、楽曲はほんの一部
ゲームサウンドは楽曲、ボイス、効果音など様々な要素が組み合わさって構成されている
DAWを用いて楽曲を制作出来る人には役に立たない内容(!?)

ジングルとは?
音楽でもない、効果音でもない。アイキャッチ?
今回は短い曲と簡単に定義して、作り方に迫っていく

例)シーンの切り替わりなど、ここから喜怒哀楽が変化する/状況が変わるという印
戦闘に勝った!レベルが上がった!などなど

■魔法の数字をおぼえよう!

嬉しい楽しい 1.5.8
悲しい辛い 1.4.8
悩み不安 1,7(6),12
緊迫 1,12(11)

具体的な制作の流れは以下の通り

A. 1(基調)を決める
B. 構成を決める/メロディ→ベース→コード→ドラム
C. 打ち込む

■「嬉しい感じ」を表現するジングル

・メロディは後半に向けてだんだん上がる感じ
・「嬉しい」を表現するには、打ち込むノートを短く
→嬉しい時はぴょんぴょん跳ねるよね
・最後は「バーーーン!!!」で終わったほうがいい
→やっぱりシンバルが良いですよね

■「悲しい感じ」を表現するジングル

・メロディはだんだん下がる感じ
・「悲しい」を表現するには、打ち込むノートを長く
→悲しい時はズーーーンって感じになるよね

口で一回読んでみるのがジングル作りのコツ(ex.日本ハムの例)

■メロディ
上記のルールに従って、嬉しい/楽しいを表現

■ベース
基調を鳴らしておけば大丈夫、あまり難しく考えるとダメ
頭拍と終わりのバーーーン!!だけ鳴らしておけば良いのでベースはこれで終わりです

■ドラム
基本的にはベースと同じタイミングで打ち込んでいけばOKです
スネアはロールで盛り上げて行って、バーーーン!!!のところでバーーーン!!!ってやる
シンバルも同様

■コード
1.5.8のルールに則ってコピペをして行けば良いです

■実演

スクリーンショット 2014-07-19 16.23.37

上記をふまえて参加者の方に音楽を作って頂きます


■質疑応答編

Q.プロかアマかの違いは?
A.垣根はほとんどないが、自分の出したモノに責任を持てるかどうか

Q.キャラクターごとのテーマ曲のジャンルの決め方について
A.キャラクターの持つ性格(怖さ、優しさ)を楽曲のイメージに当てはめる
発注をして来た人とディスカッションが必要

Q.曲については自分一人で決めるのか?スタッフと相談するのか?
A.タイトルによるが、楽曲のイメージを持っていない発注者相手の場合は自分から発信して「これはどう?」「これはどう?」という提案型の話し方が良い

Q.今回の講演内容は自分で導き出したノウハウなのか、それとも誰かから教えてもらったノウハウなのか?
A.効果音スタッフは曲が作れない人が多いので、効果音スタッフに教えるために編み出した手法
ドとかレとかが分からないけど、1.5.8のような数字でならエディター上で理解できる

Q.発注側はどういった指示を与えれば良いのか?
A.効果音なのはジングルなのかの違いは「メロディの有無」で考えると分かり易い。

Q.発注を受けて作る時に、どのように「自分の個性」を出しているのか?
A.職業作家かアーティストなのかによって考え方が異なるが、祖堅氏は「職業作家」なのでその辺りは考えていない(それよりもゲームへの貢献度の方が大切)

Q.どういう発注書が分かり易いのか?
A.音楽の発注の場合はイメージの絵あるいはテキストなど、共有出来る情報が多い方が嬉しい。効果音の場合はカタカナで擬音(ドカーーーン!!!とか)で書いて欲しい。最終的には絵合わせ。

Q.ジングルと曲の違いはなんなのか?
A.尺の長さ。曲だと仰々しいし効果音だと物足りない、その中間位置に存在するのがジングル。

Q.発注されて楽曲を書く場合に、やり易い相手・やりにくい相手を知りたい
A.コミュニケーションさえ取れればどんな人でも大丈夫

Q.自分では最高なのにリテイクを食らった場合、どうするのか?
A.こちらの方が良いとの主張はするが、発注者から理に適ったリテイク内容が提示されれば頑張って作り直す

Q.曲のキーはどうやって決めているのか?
A.キーというよりは帯域で調整している

 


プログラマとサウンドデザイナをつなぐサウンドミドルウェア

服部 義明 氏
http://www.cri-mw.co.jp/product/interview/2008/ryu-ga-gotoku/2nt4hm0000000a0n.html

みんな一度はロゴは見たことがある「CRI」とは一体?

・音声・映像を専門としてミドルウェア開発会社
・日本で一番使われているサウンドミドルウェア会社
・UnityやUnrealEngine等のゲームエンジンにも対応

ミドルウェアはADX2、Sofde2、Clipper、ファイルマジックPRO等

サウンドプラグラマーとは?
・サウンドデザイナーが作った音をゲーム中で鳴らせるようにする人
・サウンドデザイナーが作業しやすいように、ツール作成等環境づくりも担当
・プロジェクトの規模によっては2D等他の仕事と兼任をする事が多い

足音に合わせて効果音を再生や音楽の切り替え、などなどが具体的な業務内容
よりコアな部分だと…
・発音源とプレイヤーの間に壁があるか調べて、音量を変化させる
・プレイヤーがいる場所によって、環境音やリバーブのパラメータを変化させる
→洞窟の中だとリバーブが深く掛かる、など
・BGMをビートに合わせて切り替える

さらにコアになってくると…
・発音数の管理からリバーブなどのエフェクトまで自前で制作

しかし、このような工夫はプログラマーの人数と音響に対する理解の問題などハードルが高いので、「人が作ったもの=ミドルウェア」を利用しましょう!

ミドルウェアとは?
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%89%E3%83%AB%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%82%A2
簡単に言えば、標準にない機能を用意してくれるソフトウェア、拡張パックみたいなもの

具体的な事例

「車のエンジン音を回転数によって変えたい」
AISACで可能(RunTime Parameter Control)
→回転数に応じてピッチを変化させる
→高いエンジン音と低いエンジン音を同時に再生し、それぞれのボリュームを調整

「毎回同じ銃声が鳴るのは違和感がある」
自分の好きな時に鳴らすデータを追加したい
→Cue再生で可能

「突然対応ハードが増えた」
データは共通で持ちたい(読み替えの仕組みを作ってくれと頼みづらい)
→ADX2なら、同じデータが使える

「BGMを鳴らしっぱなしじゃなくて、シチュエーションによって切り替えたい」
・ばっつり切り替わるのは不自然なので、拍に合わせて切り替えたい
→ビートシンク機能で可能

「今、どんな音がなっているのか分からない」
・バグ?それとも正しい?確認のために再生履歴が見たい
→プロファイラで可能

「データの更新を手元ですぐに確認したい」
・データの差し替えの度にゲームを再起動させるのは面倒
→インゲームプレビューで可能

■CRIを選ぶ理由
Wwise/FMOD/Milesなど競合も多いが、日本製はCRIだけ
サポートがスピーディーかつ個別案件にも対応可能なのが特徴

ADX2での実演

「武器を切り替えたタイミングに楽曲が変わる」
同一BPMの楽曲を複数用意し、その切り替えをビートシンクで頭合わせしているため、非常にスムーズに(気付かれないくらいに)曲が変わる

「有線のBGMと環境を組み合わせてより”コンビニ感”を出す」
シーンごとのBGMの切り替え

■まとめ

ミドルウェアの機能が増えたとしても、サウンドとプログラマの話し合いは大事
目指すものはなにか?というコンセプトが共有出来ると、そこから何が必要か?が分かって来る
どんな機能を使うのか、作るのかは、コンセプトに基づいて定められるべき

・ミドルウェアは新幹線ではなく高速道路
→自分でハンドルを操作しなくてはならない
→どのルートを通って目的地に向かうのかも決めるのは自分達
その地図となるのは「ゲームのコンセプト」!

サウンドプログラマーの資質
・ゲームの音に対して興味がある人(難しいことはミドルウェアがなんとかしてくれる)
・ミドルウェアが中でなにをやっているのか分からないとバグが出たとき困るので知識は必要
・オーディオプログラマーの求人情報を見ると勉強になります

 


 

最後に講演者の皆様からひとこと!

稲毛 謙介 氏
「今日はゲーム音楽、効果音、ジングル、ミドルウェアといろいろな話があったが、
実際の業務についてそれぞれ少しでも垣間見えたなら良かったと思う。ゲームオーディオは非常に面白い分野なので、是非プロになって欲しい。」

市村 嘉章 氏
「講演内でも話したように、自由な発想を持ったまま、いろいろな事に挑戦をするのが大切。失敗してもめげないチャレンジ精神を持っていて欲しい。」

祖堅 正慶 氏
「ゲームサウンドは音楽だけではなく、効果音やボイス、サウンドプログラマーなど多岐に渡る。音は目に見えにくい仕事なので、最後にモノを言うのは情熱。その情熱を持ったまま、様々な会社の門戸を叩いて欲しい。ゲームは最高のエンタテイメント!」

服部 義明 氏
「音をつくる、音をならす、それぞれゲームの本当に重要な部分。爆発音が鳴らないボンバーマンが面白くないのと同様に、音だけでそのゲームを象徴できるものもある。サウンドプログラマーは人手が足りずリストラになりにくいのでおすすめ。」

 

講演内容に関する速報は以上です。後ほど加筆および推敲をさせて頂きます。
拙いメモ書き程度のものではありましたが、最後までお付き合い頂きありがとうございます。